海のイメージが強い沖縄で湧き水というと意外に思われる方が多いかもしれませんが、沖縄県内には1200カ所の湧き水があるとされています。
沖縄には高い山や大きな河川が少なく、古くから水の確保には苦労が伴いました。現在のように水道が整備される以前、地域の暮らしを支えていたのは各集落に点在していた「ヒージャー(桶川)」や「カー(井戸)」と呼ばれる湧き水でした。
これらの湧き水は、飲み水としてはもちろん、洗濯や野菜洗い、農作業後の道具の手入れ、さらには火災時の水源としても活用され、地域の人々が協力してその維持管理に努めてきた歴史があります。
現在では、水道の普及によって湧き水の存在を意識する機会は減りましたが、特に年配の方々にとっては、命をつないでくれたかけがえのない場所として、今なお深い感謝とともに大切に守られ、次の世代へと引き継がれています。
arrow_forward琉球杢目のコラム一覧へ戻る